彼はソファに座り、私はソファではなく彼の足元に座るように床で胡座を掻いている。女の子らしかぬ座り方だけど、結構楽だったりするのだからやめられない。
じっと見つめても、眼鏡越しの彼の金色の瞳はずっと上下に動いている。今週は今まで積まれたままだった本を全て読むのだと言っていたから、かなり読書に集中している。その証拠にいくら熱っぽい視線で見ても、さっきから何の反応も無い。
つまり、私のムラムラに気づいていない。
いつもは私の気持ちを私より汲んでくれる彼にしては、珍しい事態だ。だけど、なぜに今。今こそ、彼にこのムラムラな気持ちを汲んでほしいというのに。
そうこう悶々としていると、ぺらり、と彼が本の頁を捲った。武骨なのに繊細な親指と人差し指が紙を摘み、動いていく。いつも、あの指で、わたしの色んなところを、触って、誑かしているあの指が、やけに遠くに見えた。
『こう摘ままれるのが好きだろ』
『お前の胸はずっと揉んでいたくなるな……』
『そう焦るな。まずは解してからだ』
『分かるか? 今、お前の中に俺の指が三本も入ってるぞ』
ざらついた低い声が脳裏を過る。
――もう、無理。
私の指が、股へと伸びた。