「もう、やらないと言ったのに……」
片手で数えられないほど絶頂した体は汗ばみ、体はすっかり脱力していた。
「そうだったかな」
すっかりぬるくなったお湯を後ろから掛けてくれながら、しれっと私を何回もイカせた犯人がそんなことを言ってくる。まぁ、お尻にはもう何も硬いモノが当たっていないから良いけど。でも、彼のことだからきっとお風呂から出てもまたするのかもしれない。その展開を待ち望んでいる私も私なんだけど、好きなんだからしょうがない。
「立香」
「ん?」
「来年の2月に1週間の長期休暇と、旅館の宿泊予約を取ったのだが」
「え? 本当に? 大きな露天風呂貸し切りで?」
彼の仕事についてはあまり聞かないようにしているけど、62歳になっても再雇用制度とかで未だに働いている。重役らしいのか、しょっちゅう休日出勤や出張があったりして、長い休みが取れて、しかも旅行だなんて夢のまた夢だと思っていたのに。
「大きいかは分からないが、旅館の女将が言うには5人はゆうに入れる露天風呂があるらしい」
「そんな部屋に1週間も泊まれるなんて、まるで夢みたい……」
「まだ来年の話だぞ」
そう言う彼も心なしか微笑んでいる。