「出るか」
「はいっ」
椅子から立ち上がり、動こうとしている立香の動きはまさにロボットである。しかし、“タジマ”にはそれをからかうことはできなかった。本来、恋人や夫婦同士の性行為は妊活を除けば、普段からの二人のコミュニケーションが十分にあって成り立つ深いコミュニケーションの一種である。だが、“タジマ”と立香はまだお互いの性格は勿論、素性も十分に知らない仲である。立香に至っては処女を捧げようとしているのだから、緊張しない方が無理な問題だ。無理しなくても良い、と言ってやりたい所だが、今の“タジマ”の脳内に理性はいない。
「……怖いか」
「怖いですよ」
頬を膨らませながらつっけんどんに言う彼女も、今の“タジマ”には恐ろしいとも思えなかった。むしろ更に、今すぐ抱いて啼かせたくなってしまう。一体この子はどれだけ男を煽れば済むのだろう、と頭を抱えたくなりたい気分に“タジマ”は襲われた。
「でも、タジマさんに抱かれたい、と思っているんで後悔はしてません」
確りと見つめてくる琥珀の瞳は路地で遭遇した時のと同じ、強い意志を持った瞳だった。
「立香は老いぼれを口説くのが上手いな」
「貴方だって」