“タジマ”は眉をひそめた。
「そんな綺麗事じゃ無い。私がやるのは脅迫だ」
「確かに、そうかもしれませんね」
“タジマ”を常連客とする青年には大体見当がついていた。問題を解決する代わりに、高額な報酬金を請求する。勿論、金を溜め込む事が大好きな多くの顧客は払うことを悩み、思い止まるだろう。そこで“タジマ”は言うのだ。
『ならば、その問題をそのままに、ということで宜しいのですね』
自らバッドエンドの道に進むのか、高い金を払ってその道を回避するのか。よっぽどの守銭奴でない限り、答えは一つのみ。ある意味脅迫を職業とする、と言っても過言ではない。
「しかし、それでは前の仕事の時よりもより狙われやすくなりますよ」
「覚悟の上だ」
まぁ、と金色の瞳が横に動く。
「こいつに何かあったら頼む」
「報酬は」
「店長に何かがあったら私がどうにかしよう」
「それで引き受けよう。しかし、弱くなったな」
怖くなったのか、と問いかけるような灰色の瞳に“タジマ”は笑った。
「あぁ、怖いとも。だが、弱くなったつもりはない」
差し出されたゴムを受けとるとそれ以上青年には目を向けず、“タジマ”は立香の手を握った。
「行くぞ」