数分間という時間は、不毛な言い合いをしている二人の気力と体力を持っていくのには十分すぎる程の時間だった。
「……一緒に入るか」
「……ですね」
恥もかなぐり捨てたのか、立香は顔を赤らめることもなくあっさりと“タジマ”の提案に乗ってきた。これは風呂場で襲っても良いということか、いやそうじゃない。
深呼吸を何度かすると、体の火照りが冷めたような気がした。
冷たい廊下に彼女を居続けさせるのも忍びなく、“タジマ”は居間に続く障子を開けた。中に入り、電気を付けると暖房器具と炬燵と薄型テレビぐらいしか目に入らない殺風景な居間が現れる。炬燵と暖房器具を付け、立香に炬燵に入るように手で示せば、コートを脱ぎ、そろそろと座った。
「女物の下着は無いが、寝間着代わりになる服があるからタオルと一緒に取ってこよう」
「ありがとうございます」
「それと、今やっているアルバイトや小遣い稼ぎがあったら全部辞めろ。だが、もし家事手伝いだけと言うのは不満があるのなら、また新しく探せば良い。その時はちゃんと私に言うようにしてくれ。一応、保護者の役目を担うからな」
衣紋掛けに掛けたコートを吊るし、その下に鞄を置いた。