ぐ、と壁に押し付けられる頃には襟元はあられもなく乱れ、もう自分の足では立てなくなっていた。崩れ落ちそうな腰は後ろから逞しい腕に抱えられていて、身長差のせいで爪先はぶらりと宙に浮いている——「挿れるぞ」そう言われるのと穿たれるのは同時だった。ぐちゅり、と湿った音がやたら響いた気がしたけど、気にしていられる余裕なんてなかった。「ぁん、あ…っあぁ…♡」「声を、抑えろ」そこでやっとここが誰が通るとも知れない場所であることを思い出す。慌てて口を手で塞ぐも、もしかしたら誰かに見られるかもしれない、という緊張感——背徳感ともいえるソレに、きゅ、とナカを締め付けてしまったのはいたって仕方がない。けれど煽られたのか——情け容赦なくより激しさを増した動きに、私は必死に声を殺して目の前の壁に縋り付く。「——ふっ——ん——♡」「く、…ッ」どくり、と一際大きく脈打ったかと思えばぐり、とこれ以上ない奥へと捻じ込まれて、きゅうきゅうとわななくソコで熱い奔流を感じながら意識がどこかへ遠のいていく——ここがどこなのか、どこからかチュンチュンと雀の鳴き声が聞こえてくるまで、すっかりトんでしまった。