「待って、ね、お願い」
「待たぬ」
ベッドのスプリングが音を立て、これが現実であることを教えてくれる。目の前には、もう2度と会えないだろうと覚悟していた恋人がいる。これは嬉しい現実だ、けれども。
「言ったでしょ、昨日から月経が来ていて」
「知っている」
止めようとした私の手を避け、彼の大きくて節立った指が慣れた手つきで礼装を脱がしていく。
いつもなら、月経が来ている時はそういった行為もしないし、むしろ甲斐甲斐しく面倒を見てくれるはずなのに。今の彼は寝かすどころか寝かせないつもりらしく、金色の瞳はぎらぎらと光っていた。
「ねぇ、どうしたの宗矩さん、こんなの、宗矩さんらしくないよ?」
「はて、私らしい私とは一体どの私を指すのであろうか」
「宗矩さん!」
がばり、と前を広げられ、下着の隙間から入ってきた手が胸を揉みしだく。
「叫びたいのなら叫べ。嫌がりたいのなら反抗しても構わん。……だが」
胸の頂を捏ねられ、あられもない声が私の口から出た。
「今の私は悪属性故、止めるつもりはない」
戦闘にモリアーティーと一緒に出すんじゃなかった、と思ってもそれは後の祭りになってしまった。