日向ぼっこ、とはいかないが暖かい膝の上、暖かい掌に撫でられれば、微睡むには十分で。ふわふわな毛並みを堪能する少女も鼻歌を歌うくらいには上機嫌そうだ。「てんて てんて〜ん♪」…ただしその選曲はちょっとどうかと思う。ともあれ廊下の片隅、ささやかな休憩スペースではあるが、穏やかなひと時。このまま眠気に身を任せてしまおうかと言うところで。「…これは、主殿。このようなところで何を?」「ふふふ〜フォウくんとのふれあいタイム中です!」少女が男と楽しげに会話をする声が聞こえる。しかし今はそれを気にするよりも眠気が勝り、くぁ、と欠伸をひとつ零して完全に眠る体勢に入った…のだが。「私とは、触れ合っては下さらぬか」ひどく重く甘ったるい男の声に、冷めた。いや、覚めた。見上げれば手の甲でゆるりと少女の頬を撫でながら、迫る男の姿が。「フォーウ……」すっかり自分が邪魔者…というか眼中にすらないことを悟り、はいはいお邪魔しました、と溜息代わりの鳴き声に——「ぁ、ん…ぅ」——返ってきたのはやたらと色づいた少女の声だけだった。ふれあいとは。