#フォウくんは見た ルルハワ編
「暑いねぇ…」「フォウ……」つい先ほどまで楽しげに海辺ではしゃいでいた少女も、常夏の暑さは堪えたらしい。木陰でだらりと身体を投げ出しながら休む姿はなかなか健康的ながらも蠱惑的——「主よ…些か、はしたないかと」…だからこそ、通りすがりに苦言を呈する声は少女を案じているのだろう。「う、ごめん…」「いや、この暑さ故無理もない…先程も随分と楽しんでいたご様子」肌の色も趣が変わりましたな、と笑う男の姿は微笑ましく子を見守る保護者のようだ——などと思ったのは、一瞬。「まこと、お転婆でいらっしゃる」童女に笑いかける好々爺のようでありながら、水着から覗く少女の肌の日焼けしている箇所とそうでない箇所との境界線——一言で言えばかなり際どいライン——をなぞる指先はどこまでも、「ふ、不健全…!」全くだ。この真昼間に。さっき窘めたのはなんだったんだ。そんな非難は当然届くはずもなく、ごく自然に奪っていった唇から漏れる少女の苦しげな吐息は暑さ故か、或いは。「フォーウ…」はいはい、おアツイことで。これならまだ直射日光の方がマシだと、木陰から勢いよく飛び出した。嗚呼あつい。