「立香」ぼそぼそとした声が耳に吹き込まれる。思わず逃げようとした腰は、いつの間にか回されていた太い腕によって繋ぎ止められていた。「立香」立香は観念したかのように強く目を閉じた。かたり、と眼鏡が机に置かれる音がする。期待するかのように服の裾を掴む小さな手に、かさついた大きな手が重ねられた。
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