「主殿はそういう心持では無いと」
身体を傾け着いた手の重みにぎし、と寝床が軋む。
「ん?」
「...お酒臭い」
「ふふふ、あの酒はとれぼん、であるな」
モレーのフランス語か、いつの間に。
「酔っぱらい」
「酔うたからこそ、よ」
気づいたら、膝に彼の頭が。
突然の感触に悲鳴をあげながら立ち上がらなかった自分、偉い。
「...もー」
目の前にある銀髪をそっと撫でてみる。
それから固くて大きい耳、カサついた頬。
口元の髭を触ろうとした時
「好きになされよ」
ポツリ、と呟いた。
[こういう時は...耳掃除?]
[チューしちゃえ]
[息子さんのこと聞いちゃおうかな]