「真っ赤だな」
涙を出し尽くして乾き始めた目尻を撫でながら、宗矩さんはからかうように言った。
「いっぱい泣いたからね」
「もう出ないか」
「もうどれだけ悲しくなっても出ないよ」
そうか、と言うなり胸元に顔を近づけるとちう、と肌を吸った。少しして口を離すと、吸った場所には赤い花が咲いている。宗矩さんの行動に理解が追い付くよりも先に、次々と上半身に花を咲かせていく。それと同時に両手も胸をやわやわと揉んでいる。花咲か爺さんが枯木に花を咲かせていくように、真っ白な気に赤い花を作っていく。止めようと声を出そうにも、良い力加減で揉まれる胸が気持ちよくて、あ、あ、あぁ、と声にならない声になる。
「あ、はぁ、んっ」
ちう、ちう、と音を立てながら私の体を下っていた宗矩さんが不意に声をあげて笑った。
「涙はもう出ないようだが、ここはまだ出てくるな」
じゅるじゅると溢れ出てきた体液を吸われて、私はさらに声をあげた。ほの暗い部屋にうっすらと膜が張る。
「さて、もっと出してやろう」
それが涙のことなのか、体液のことなのか聞こうにも、私の声は喘ぎ声になるばかりだった。