2人分の布団を敷いて、枕を置いて。冷房の設定温度を変更して、先に布団に潜り込む。就寝前のトイレから戻ってきた宗矩さんが、寝室に入るなり顔を少し険しくしたのが逆光越しに見えた。
「少し寒くないか」
「うん、少し寒くしたからね」
首を少し傾げながら、襖を閉めた宗矩さんの顔は暗くてよく見えない。表情が見えないのが心配だけど、もうここまで来てしまったのだから今さら戻れない。
布団代わりのタオルケットを片手で持ち上げ、もう片手で敷布団を軽く叩く。恥ずかしいけど、わざと上目遣いで宗矩さんを見る。
「これから暑くなることしたいから、冷房の温度低くしたんだけど……ダメ?」
「駄目だ」
きっぱりと断言して、そのまま冷房のリモコンを操作する。いつもの温度よりも2度下げたけれど、2回聞こえた電子音からするとどうやら戻されたらしい。いつもは自分から誘ってくる癖に、私から誘うのはダメなんだ。ふーん、そうなんだ。
「汗で冷えたら風邪を引くだろ」
下ろしかけた腕を掴まれ、持ち上げると宗矩さんがタオルケットの中に潜り込む。この近さになって、ようやく宗矩さんの顔がはっきりと見えた。
「あ、」
「覚悟しろよ」