あつくて、あつくて、しかたがない。しかたがない、のに。「っ…ふ、ぅあ」「はっ、…」ただでさえ暑さで息苦しい呼吸を余計に苦しくなるような真似をして、もっともっとと、浮かされるままに熱を上げていって。鬱陶しいくらい絡み合って、交わり合って、溶け合って。それでもこんなにも——「ぁ、あ…もっと、」「…ん」こんなにも、離れがたいのは何故だろう。大きさの違う汗ばんだ手は吸い付くようにぴたりと重なって、そのまま握り合って。身体のどこよりもあつい泥濘が、同じようにあつい肉欲を咥え込むのを、ぐちゃりと音を立てて歓んだ。遠く、耳鳴りのように聞こえる蝉時雨は、そんな真昼の情事を責め立てるような気がしたけど——きっと、気のせい。