「宗矩さんは嘘つきですね」
「ん?」
十年くらい前、まだ少女だった頃より比べて大分大きくなった私の胸を一生懸命揉みながら、宗矩さんは金色の瞳を琥珀色の瞳に合わせてきた。洗い終えて水気をたっぷり含んだ白い房が幾つも垂れているさまは、湯船の中か閨の時にしか見ないもので、見る度に鼓動が一瞬だけ早くなる。
「あの誘い文句です」
久し振りに一緒に入ろうかと言っていたけれど、つい一昨日も一緒に入ったばかりである。一昨日どころか、こうしてお風呂に入る機会がある度にずっと二人一緒に入っている。
「昨日は一緒に入らなかったじゃないか」
「湯船には、入りませんでしたね」
ゆぶね、と強調して唇を尖らせる。昨日はお風呂に入る前、夕飯の準備をしていたキッチンでしてしまった。キッチンでした興奮そのままに、抜いたら溢れてしまうから栓をしてしよう、などと宗矩さんの口車に乗せられて私たちは繋がったままお互いを洗ったのだ。シャワーを二人一緒に浴びたら、体を拭くのもそこそこにベッドへと移った。一日経っても思い出しただけで顔が赤くなる。
「怒ってるか?」
太い指がくにくにと乳首を優しく労る。
「もう怒ってません」
「そうか」