コロク
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『……そうか。杞憂で良かったな』
「はい。エルメロイさんにはご迷惑をお掛けしました」
『嫌、丁度良かった。最近、何やら時計塔の連中が怪しい動きをしていてな』
「怪しい動きとは?」
『まぁ、聖杯戦争の前段階、遺物を巡る争いをし始めようとしているらしくてな。こっちも騒がしくなりそうだ』
「大変ですね……」
『何だか偉そうな口だが……まぁ良い。達者でな』
「はい。先生も健康と睡眠には気をつけて下さいね。では、失礼します」
 電話を切り、スマホを宗矩さんに渡す。スマホをベッドサイドに邑久のを見ながらベッドの上で正座をして、両手を付く。
「と、言うわけで、海外旅行に行って宗矩さんの受肉を解こうと考えていました!」
 嘘を付けない辛さに耐えきれず、夕飯の後のマッサージタイムの前にとうとう話してしまったけれども、宗矩さんの表情に変化はない。
「そうか」
「……怒らないんですか?」
「怒るも何も、私を考えてくれての事だろ。一言だけ言うならば、自分で考えて決める前に相談して欲しかったがな」
「……はい」
「良い返事だ」
 長くなった髪の毛を撫でると、宗矩さんは微笑んで髪の先を持って口づけを落とした。

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ichinyo.site/但馬守に斬られたい人たち

「こっちに一如して」などと言っていたらドメインが取れることに気づいてしまったので作ったインスタンス