コロク
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「明日からは旅行だからな。今日はお前の下準備をしておく」
「私の下準備?」
「ああ。まず、横になってくれないか」
 マッサージでもして足のむくみを取ってくれるのだろうか。流石完璧な宗矩さん、と心をポカポカとさせながら横になる。
「……んぅっ?!」
 宗矩さんとお揃いがいい! と、おねだりして何でもない日のプレゼントとして買って貰った夜用の浴衣の帯を解かれて前を広げられる。その間ずっと私の口は宗矩さんの口で塞がれ、息も舌も全て奪われる。奪われているのに、それが嬉しくて堪らない。腕を伸ばして抱きつくと、宗矩さんも抱き締める。両耳を大きくて厚い手で塞がれて、宗矩さんと私の舌が織り成す水音しか聴こえなくなる。
 時折、息継ぎの為に口を離してくれるが、すぐさままた塞がれる。まるで羊を喰らう狼のように唇に吸い付く宗矩さんは、少し怖くて愛おしい。
「んうっ、ふ……」
「んっ、ふっ……」
 ぴちゃぴちゃと、耳の中に広がる舐る音が心地好い。
 老眼鏡を掛けたまましているせいか、首を傾げたままの宗矩さんも好きだ。どうして掛けたままなんだろう。もしかして、目を閉じてキスしている私の顔を見たいからなのかな。

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ichinyo.site/但馬守に斬られたい人たち

「こっちに一如して」などと言っていたらドメインが取れることに気づいてしまったので作ったインスタンス