この部屋に布団を初めて敷いたその日の夜は、雷が何度も落ちてきた雷雨になった。滅多なことでは自分の所に落ちないと分かっているのに、雷が落ちる度に体を丸めてしまう自分がいる。
「立香」
タオルケットを頭からすっぽりと覆い被さって丸まっていると、ふと名前を呼ばれた。顔を出してみると、隣で寝ていた筈の宗矩さんが自分のタオルケットを片手で持ち上げ、もう片手で敷布団を2回軽く叩いた。
「こっちに来なさい」
「……うん」
タオルケットから剥い出て、自分が寝ていた布団から宗矩さんがいる布団へと移る。宗矩さんの元にたどり着いて抱き締められた時、一際大きな雷鳴がとどろいた。
「ひぅっ?!」
「おお、近くに落ちたな」
「そんなこと言わないでよ!」
宗矩さんを見上げて頬を膨らますと、苦笑するのが暗がりの中でも見えた。
「すまんすまん。お前が雷が怖いと知って、つい」
まるで子供をあやすように頭を撫でられて、私はさらに頬を膨らます。
「ふっ……いいや、気にするな。そう言えば、あやつも雷を怖がってたと昔のことを思い出していただけだ」
誰のことかと聞く前に雷が落ちて、私は聞き損ねてしまった。