「あ、」開いた口のそのままに漏れた自分の声は掠れていて、弱々しいものだった。それでも「どうした」と服を纏うためこちらに背中を向けていたにも関わらず零すことなく拾われた声に、嬉しくも恥ずかしくもなる。「背中、に。傷が……ごめんなさい」だけど今は羞恥心が勝り、同時に罪悪感が込み上げてくる。広い背中には、私が刻んだ細く赤い痕がちらちらと散っていた。「なに、気にするな」お前と似たようなものだ、とこちらへ伸ばされた手は剥き出しの首に、肩に、胸元に。昨晩あちこち残された赤い痕をなぞっていく。「今日は紅葉狩りにでも赴くか」その提案は何から連想して思いついたことやら。「そう、だね…そろそろ、見頃だから」身支度しなきゃ、と呟きはしたものの、未だに肌を這う指先は離れることなく——それどころか妖しげな動きに、変わっていって。「だが、まずは——こちらを愛でるとしよう」「、んっ」ついにはきゅ、と胸の先を摘まれて、いよいよ先程からちらついていた情欲の熱を、無視できなくなった。「こんなにも見事に色づいているのだからな」起こしたばかりの身体は再び布団へ沈み——嗚呼また紅く散らされることだろう。