何やら悲痛な声が聞こえたような気がして目が覚めた。柔らかなベッドの上で欠伸をしつつ、ふと声がした方を見てみると。「も、らめ…ぇ…!ッ立って、りゃれな、ひぃぁ…っ!」「腕を此方へ…、あァ、良い子だ」何やらこの部屋の主人であり数々の英霊のマスターである少女が、従えるべきである筈のサーヴァントの男によって覆われるように壁に押し付けられている。悲鳴のように思えた声は、どうやら。やたらと粘着質な水音がするあたり、まぁ、そういうことだろう。「あ、ぁぁあぁ…ッ!」「くっ…」一際甲高い声が響いたのをきっかけに、するりとベッドから降りる。どうせすぐにこちらで続きを始めることだろう。今は主従関係を隅に置いて恋人同士としての時間を愉しむ彼女らの為に、ため息どころか鳴き声ひとつ漏らさず立ち去る自分を誰か褒めて欲しいと思った。