#フォウくんは見た
番外編 マーリンは視た
所用があってマスターである少女の部屋を訪問しようとしていたのだが。ふとその前に彼女は今どんな様子かと視てみれば——『——ッあ、ん、はァ…ひぁん…っ』『——ハ、……っ』「…おや」男に跨る、女。艶めかしく揺れる肢体。細い腰を掴む無骨な手。背を仰け反らせて剥き出しになる喉。そこに噛み付く獣。『——ァ——あ——♡』『——ぐ…ゥ…——』響く嬌声。くぐもった吐息。交わる視線、重なる唇。何をしているのかなど考えるまでもなく。「(これはこれは。お楽しみ中とはね)」これでは訪問したところで無駄…と言うよりはお邪魔だろう。出刃亀をしてしまったとはいえ、流石に邪魔する趣味はない…それにしても。「彼女も"女"だったんだな…」とろりと蕩けた貌、その下で揺れる豊かな双丘を思い出しつつそう感慨深げに呟いていたら——「フォーーーーーーーウ!!!」「ぶふぁっ!?」「フォウフォウ!ブフォーーウ!!」「ぅわ、こら、いててて…!ヒトの恋路を邪魔したわけでもないのに、蹴るんじゃな、っ痛!!」「フォウフォーーーーウ"!!!」蹴られるどころか引っ掻かれた。やれやれ。