最初に教わった通り、マスターは首筋に触れられるのが好きだった。指で、唇で、舌で、まだ余裕があるときになぞると目を眇めほんの少し吐息をこぼす。その様子は私を追い立てるときとはまた違った色気に満ちていてドキドキした。悪戯だな、とあっという間に形勢を逆転されたり、しばらくうっとりと私の背を抱いていたり、その後どうなるかは日によって違うけれど嫌がられてはいないことは分かる。
部屋に招かれるようになって数度目、手を引かれ私からのしかかるような姿勢になった。自分でも思ったより素早く体が動いた。手を探して繋いで、舌でそこをぺろりと舐めると、
「っ……!」
マスターの首が反る。不意を打てたみたいだった。その反応が楽しくて甘噛みしてみると、低く呻くような喘ぎが返ってきて下腹が甘く疼いた。調子に乗って、そこに口付けたままちゅ、と何度も吸い上げるけれど反撃される様子はない。珍しくマスターの息がもう荒くて、嬉しくなる。
ふと何か残したくなった。顔を上げて、
「痕、つけてもいいですか」
薄く笑ったマスターが返事がわりに反らした首筋はとても美味しそうで、私はゆっくりと口付けた。
#immoral #柳ぐだ