若返りすぎた感が否めない。というのも、立香の体の方が大きかったのである。そう困ることはないのだが、
「……えっと」
閨のことだけは如何ともしがたい。押し倒したり身体を入れ替えたりはそもそも体術である。さほどの難ではなかったが、自重が軽きに過ぎる。ぐ、と脚を開かせようにも立香がおや、という顔をするほどであった。
だが。
不意に、重さをかけずとも自然と脚が広がりはじめた。そろりそろりとした動きに思わず立香の顔を見ると、
「……見ちゃやだ」
赤い顔が背けられ、更に腕で隠れる。
その腕を外す程度の膂力はあった。覗き込む。泳いだ目線を慌てて瞼で隠した立香が布団に顔を埋めた。
「……なあ」
「……なに」
普段とは少し立香の口調も違って面白い。
「顔が見たい」
笑わないようによくよく気配りしながら囁きかける。返事はない。
「立香」
何度目かの呼びかけで、ようやく天岩戸が開く。曰く、
「若返ったくせに声は一緒なんだもん……」
とのことだった。それを俺に言われても困る。聞かなかったことにして、立ち上がり切った切っ先を開かれた隠に当てた。
#柳ぐだ