「……入るかなぁ……」
少し小柄になった身体を横たえたまま、立香が呟く。
「慣らせば、おそらくは」
しかし無理してすることでも、と続けた但馬の唇を立香が塞いだ。
「……夜、なんかがっついちゃったっていうか無理やり口説いたっていうか」
立香がひどく歯切れの悪い様子なのはおそらく罪悪感からなのだろう、と但馬は推察した。年端もいかない姿になった自分を口車に乗せて貪った、そんなことを考えているのはこれまでの様子でなんとなくわかる。
一方但馬自身はそのような気持ちは欠片も抱いていなかった。もう少し、月のものも来ていないような年頃であれば話も別だが、この年の娘が嫁に行くのは普通のことだ。
「したいか?」
問題はそこだけだった。怖いのであれば無理してすることでもない。ただでさえ年の差のある立香の、知らない時代の顔を眺めて過ごすのも悪くなかった。
しばし黙っていた立香が寝そべったままにじり寄ってきて肌が重なる。いつもより少し冷たい肩を抱けば、首筋に腕が絡まった。
「したくなったら、しよっか」
「無論」
そう言いながら再び口づけを交わす。おそらく、時間の問題だった。
#柳ぐだ