何か心配なことでもあるのか、少女の体が強張っている。やっとここへ来て、多少の危機感は覚えているらしい。
今更か、と思いながら“タジマ”は口を開いた。
「体を売るよりも、良い働き先があるぞ」
白かった幼い顔が更に青白く染まっていくのを見ながら、“タジマ”はため息をついた。
「深夜の大通りで少女ができることは限られている。そうではないかと思って聞いてみたが、本当にそうだったとはな」
「でも、できませんでした」
“タジマ”の目から逃れるように、黄色い瞳が下へと向く。しかし、その口からぽつり、ぽつりと言葉が少しずつ出てきた。
少女によれば、親も親戚もおらず、バイトだけでは金銭が足りなくなったからと体を売るために大通りへ出たは良いものの、やはり好きでもない人と肉体関係を結ぶのに抵抗があって何もせずにただ大通りを歩いていたところ、“タジマ”が最後の仕事を終えた時に偶然見てしまったらしい。
「私が言うのもアレですけど、不運としか言いようがありませんよね」
「……良かった」
「え」
“タジマ”の手は自然と少女の頬に伸びていた。
「お前の初めてがどこの誰かも分からない男に奪われなくて、本当に良かった」