結局、柳生さんのうちにそのまま居候することになった。里親制度と言われたから調べてみて、それじゃあ割に合わないんじゃ、と言ってみたけれど、
「もう少し小さくて手がかかるならともかく、君ももうほぼ大人だろう」
と淡々と説きふされてしまった。
「もし心苦しいということであればたまに洗濯物だけ乾燥機から出しておいてくれると助かる。入れたままにしているとシワが寄るからな」
お父さんを見ていたから、家でご飯を食べられるかどうかはわからない仕事だということは知っていた。おうちの中もすっきり片付いていて、少しさみしいぐらいだったから掃除もできる人だ。当面、言われたとおり気がついたときに乾燥機から洗濯物を出しておくことが私の仕事になった。受験もあるし、ありがたい。
お父さんとお母さんのことは、思いだす。まだ火を見るのが少し怖い。