次の日はお見舞いに行って、学校と塾に行って、ひとりでご飯を食べて。あっという間に商店街の店先にクリスマスのものよりもお正月のものが多く並ぶようになった、24日。数学にも飽きたし、ちょっとだけ、クリスマス気分の街に出てみようか。迷っていると扉をノックされた。
「いるか」
「はい」
時計を見ると夕方にはちょっと早いぐらいだった。これは、今日の晩ごはんもひとりだなあと思いながら扉を開けると、そこには大きな、それこそ私より少し小さいかどうかといった大きさの包みを抱えた柳生さんがいた。
「好みに合わんかもしれんが」
メリークリスマス、と差し出された包みを抱える。見た目ほど重くなくて、ふかふかしている。
「開けてもいいですか」
「もちろん」
リボンをほどいて包装紙をはがすと、大きな白いどうぶつの、ぬいぐるみとも抱きまくらともつかないふかふかが出てきた。目がぱっちりしてて、
「かわいい」
「よかった」
お礼を言おうと見上げた柳生さんの顔には珍しく『心底ホッとした』と書かれている。ちょっと面白くて、申し訳ない。
「ありがとうございます」
「あれから話す機会もなかったからな」