庇ってくれたかと思えばずけずけと踏み込んでくる。
「今日の荊軻は意地悪だ」
思わずこぼすとちがうちがう、と苦笑された。でもどう違うかは教えてくれない。
「まあ、そういうことなら冬になったら前後不覚になるまで飲ませてやるさ。そうすればいくらあの男でも化けの皮が剥がれるだろうよ」
「いや、いいよー」
「お互い素直なようで素直じゃないな。世話の焼ける」
そんなことないと思うけど、と言いつつ、まあ、酔っぱらいの言うことだし覚えてないよね、なんてタカを括っていたのだ。
今日、但馬はひたすらみんなに酒を勧められていた。年長者だと言うこともあるかもしれないけれど、去年はこんなことなかったように思う。荊軻はもちろん、ノッブや下総組、普段手合せすることが多いランスロット達円卓組、それからどう言う繋がりかよくわからないマリーちゃんや婦長まで。極めつけはおひらきになったあと、
『メリークリスマス』
但馬と一緒に食堂を出て行く時に、確かに荊軻の口がそう動いたような気がした。
多分、これは据膳なんだと思うけど。恥ずかしいけど。すごく嬉しかった。