いいか、という顔でこちらを見上げてくる顔は、今見るとちょっとイケオジの時の顔に似ている。同じ人……猫……?だと知ったからかもしれないけれど。
こっくり頷くと暖かくて柔らかい身体が膝の上に乗った。小さな動物の重みに頬が緩む。
「……やぎゅー」
さっき教えてもらった名前を呼ぶと、丸まりながらも2つに分かれた尻尾で返事をしてくれた。
「ほんとに猫又だったんだねぇ」
背を撫でる。グレーの中に時折真っ白な毛も混ざっている。そういえば猫は白髪になるってあんまり聞いたことがない。この子もそうなのか、はたまた猫又だと違うのか。なんにしろ、毛並みはいつも通りふかふかで触り心地がいい。ずっと撫でていたかった。
そうっと顎の下を撫でてみると、うずっ、と耳が動いた。顎から首、首から脇に手を移す。
「……きもちいい?」
尋ねてみると、ころんと膝の上で転がって白いお腹を見せてくれる。
「おっ」
思わず声を上げて顔を見ると、目を細めながらもどこか不本意そうな顔……こういうのを複雑な顔っていうんだろうな。そういえば猫の習性には抗えないんだった。思わず吹き出しかけたけどなんとか堪えて、その毛並みを撫でた。