ぱたた、と窓を叩く雨音で目が覚めた。お腹のあたりがぬくぬくしている。そうっと布団を持ち上げてみると、闇の中にきらりとふたつ、光るものがあった。手を差し入れればあたたくてやわらかい生物の気配に触れる。それはあっという間に胸元まで上がってきて、お布団から顔を出した。
「おはようー……」
猫やぎゅさんが顔をぐいぐい押し付けてくる。感謝されてるっぽい?
「よく眠れましたか」
私の問いかけに答えるように、猫やぎゅさんが顔を押し付けるのをやめてぺろりと顎先を舐めた。ザリザリした舌の感触が猫らしくて頬が緩む。そのままこちらから鼻を押し付けると、くたっとその小さな体から力が抜けるのがわかった。好きにしていいみたいだから、遠慮なく触って吸わせてもらう。至福。
ひとしきりその体を楽しませてもらってからお顔を見ると、いつものお利口そうな顔に戻っていた。昨日の夜はずいぶんやつれた感じがしてたからね。
「元気になった?」
尋ねてみると再びのペロ攻勢。とても、といったところかな?
「よかった!」
気持ちを込めてそのまま鼻先に口付けた、つもりだったけど目測を誤ったらしい。
人の柳生さんが現れた。