「今日はこちらです」
日本の冬、こたつの冬。寒さによる恋しさも相まって、立香と柳生は日本に帰ってきていた。
あまり曜日感覚もなくゆるゆると過ごしているので、曜日がわりでなにかイベントを作ろう、と言い出したのは立香である。月曜は散歩、火曜は家で映画、のように決めて行って、日曜日はアイスの日、と定められた。完全に趣味である。
「大福の中にあいすくりいむを詰めたのだな」
前回、白熊かき氷の量に難渋していた柳生は赤いパッケージの文字を読みつつぺりりと蓋を剥がす。立香に促されるまま中の楊枝で割ろうとし、
「……求肥か」
その皮の質に気づいたらしい。
「そう!薄甘くて中のアイスとベストマッチで美味しいよ」
「なるほど」
「もちもちすぎて切れないし、齧った方が食べやすいと思う」
「うむ」
そう答えるように微笑んだ柳生はしかし、かつての年下の同輩のことを思い出していた。澄ました顔をして街を当たらせ、ないと分かればわざわざ職人を呼び寄せる気の入りよう。
「やぎゅさんの時代にもあったんだねえ」
「ああ」
頷いて一口齧ると、甘さと冷たさ、そして食感が伝わってくる。
「……うまいな」