お味噌汁の匂いがする。それからトースターがチンと鳴る音。ドアが開いて、ベッドが沈む。
「……起きていたか」
起こしに来た但馬の腰元に抱きつくと、これ、と叱られる。それすらも楽しい。但馬も慣れたもので、引き剝がしもしない。撫でられる髪が気持ちよくて、但馬の膝は暖かい。頬が緩む。
「……オハヨ」
寝返りを打って見上げるとちょっと優しい目で見下ろされる。嬉しい。
と思ったら鼻を摘まれた。
「やー」
「飯ができている」
「はーい」
但馬はご飯にお味噌汁。私はパン。多分ふたりとも、卵焼き。メニューを思い浮かべたらお腹がすいてきた。
「冷める前に食べなきゃね」
起き上がると、さらりと一瞬ハグをされる。ちょっかいをかける間もなく、但馬は早々に立ち上がるとキッチンに戻っていった。