落穂ナム
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見つめ合ってしまった。何でもないのに、視線が合ってしまった。お互い、目を離せないことに、気づいてしまった。
但馬と通じ合ってから思うままに一緒にいることにした立香だったが、こういった甘い空気というものにはどうも慣れない。いつかはそういうことも、と思ったことはあったものの、我が道を行き突き詰めた但馬が優しく手ほどきしてくれるのか、あるいは半ば強引にリードしてくれるのか、はたまたハプニング的になるのか、どうなってもおかしくないなあ、と考えては枕に顔を埋めていた。
いざこうなると気恥ずかしくて逃げたくなる。知らず知らずのうちに身じろいだ身体はすかさず但馬に腕を引かれ、香の匂いがする胸元に収められてしまいもうどうしようもない。俯いても、少し体温の高い掌が頬を撫でながら上向かせてくる。
再びは視線が合わぬまま、素早く、強く唇が押し当てられた。重なったそれが開くように動いたのにつられると、ぬるりと濡れたものが口内を這う。
気持ちいいかと言われると微妙だったけれど、立香はされるがままになることにした。但馬がこうも積極的に何かを求めることなどなかったから、それだけで胸がいっぱいになった。

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「こっちに一如して」などと言っていたらドメインが取れることに気づいてしまったので作ったインスタンス