落穂ナム
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重い扉の外側には、いつものドアベルの他に青々とした葉のついた枝を組んだリースが飾られていた。元々扉の色が臙脂に近い色をしているから、そこにかけるだけで立派にクリスマスの雰囲気が醸し出されている。ましてドアベルも準備されているのだから完璧だった。
今年のクリスマスは珍しい3連休で、マスターが11月の終わりには「12月24日は23時で閉店します」とお知らせをしていたことを思い出す。最初にそう案内しているのが聞こえた時は驚いた。かきいれ時に、とも思ったけれど、よくよく考えれば連休になる時は大体最終日を22時までにしていたから、これでも譲歩したんだろうなあと勝手に想像した。
だから、
「24日は外に泊まらないか」
と誘われた時は、そんな時間から?という気持ちと、そんな時期にわざわざ準備してくれたという感動とがごちゃごちゃになっていたように思う。
「外、って」
「星見にでも」
コーヒーマグ片手にマスターが地図を出してきた。車で1時間ほどの距離にはなるが、見晴らしよく星のよく見える場所があるのだという。
「車中泊にはなってしまうから本当に平気なら、だが」
以前そんな話をしたことを覚えてくれていた。

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「こっちに一如して」などと言っていたらドメインが取れることに気づいてしまったので作ったインスタンス