落穂ナム
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刑部ちゃんに借りた漫画がない、と思ったら但馬が黙々と読んでいた。四書五経が嗜みだったのかどうかはわからないけれど、まあ大陸への憧れはあるよね……。
「面白い?」
「よくできておる。語彙が追いつかぬところもあるが絵で補われるから十分だ」
流石に伝書の類は実地でやらねばなるまいが参考にはなる、と付け加えつつぱらりぱらりと読み進めていく。最後まで読みきって曰く、
「続きはお持ちか」
ときた。
「まだ借りてないよー」
「ならば明日借り受けて参ろう」
まあ活劇といえば活劇だけれど、やけに熱心だ。
「何、信長公と節分にでも創作能をやろうかと話しておるのだーー」
あ、まずい。わくわくスイッチを踏んじゃった、と思った時にはすでに遅く、淡々とした語り口のくせに話が止まらない。但馬のことは愛しているけれど、残念ながらまだ能の演目までは守備範囲に入っていない。分からないところを逐一教えてはくれるけれど、
「これこそ実地でなければ分かりにくかろうよ」
と勧誘にも余念がない。どうしよう。マスター業の他に能演者(アマチュア)の肩書きがつく日も遠くないかもしれない。

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ichinyo.site/但馬守に斬られたい人たち

「こっちに一如して」などと言っていたらドメインが取れることに気づいてしまったので作ったインスタンス