落穂ナム
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「この通り」
双肌脱ぎになった但馬が立香の手首を掴むと自らの胸元へと導いた。胸の中央、先程刻んだ紋章が赤く浮かんでいる。
「……痛くない?」
「何も」
刺青とはまた違うものだが、相手に何かを刻むという不思議な悦びが立香を満たす。その肌触りを確かめたくて、何度か指を伸ばそうとしてはやめた。何故かはわからない。ただ、その鍛えられ程よく肉の乗った肌に浮かぶしるしが、
「綺麗」
ただ見惚れてしまう。但馬は但馬で掴んだ手首を離しもせず、挑むような目で立香を見つめていた。
漸く意を決した立香の指がその髑髏の印をなぞる。
「嫌?」
但馬は問いかけに緩く首を振り目を伏せた。
うんと年が離れていること、そもそも生きた時代も違うこともあるがそれ以上にこの但馬という男のことが分からなかった。ただ己を剣として扱えと言ったかと思えば手解きをと立香をかき抱き布団に縫い止める。立香は但馬が何故そう考えているかは分からなくとも、どうしたいかは察し始めていた。
立香の指が自分の服の前を開けていく。先程但馬にされたように但馬の手首を掴んで胸元に導けば、黙ったままの男の指が胸の谷間をゆっくりとなぞって火を灯した。

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ichinyo.site/但馬守に斬られたい人たち

「こっちに一如して」などと言っていたらドメインが取れることに気づいてしまったので作ったインスタンス