落穂ナム
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「あら!マスター、ヤギュウのおじいさまよ」
「はーい」
マイルーム番は交代だけれど、お手伝いしたがりの子供たちの時は必ず但馬が訪ねてきてくれる。あからさまに心配するのも主従としての信頼を損なうが、かと言って誰も訪ねぬのも仕事にならぬであろう、と言うのがその言だった。確かにその通りで、子ども扱いされるのは気に食わなかったなーと自分のことを思い出す。その点但馬はしょっちゅう部屋に来ているから、特別お目付役で来ているという雰囲気にならないずまさに適任だった。
「手土産はここに」
「わ、大福!」
「ジャパニーズティーね、マスター」
今日の当番はナーサリーだから積極的にお茶を入れてもらえる。
「熱々のお湯ではいけないのよね?」
「左様」
但馬に頷かれ、注いだ湯を少しじいっと見つめて待つ様子がとても可愛い。
「何か見える?」
思わずそう問いかけると、
「ゆらゆら、いくつ波打っているのかしら?」
どこかで聞いたような話だな、と思って但馬を見ると、顔色一つ変えずに、
「…さて。なぁさりぃ殿はこちらまで来たときの歩数をお覚えか」
なんて宣う。事情を知らないナーサリーの前で笑いをこらえるのに必死だった。

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ichinyo.site/但馬守に斬られたい人たち

「こっちに一如して」などと言っていたらドメインが取れることに気づいてしまったので作ったインスタンス