落穂ナム
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心ゆくまで打ち合う、そんな日が時折訪れる。心地よい疲労感と滾りを超えて満たされた心持ちは格別であるが、それに重ねて主の柔らかな女の身体に埋もれる安息もまた堪らぬものであった。ひどく欲しいというような飢えもなく、ただ肌が触れるぬくもりや互いに相対する肌で知り合うのはある意味で立ち会いにも似通うところがある。
勝ち負けはない、ように思ってはいるが、
「……但馬ばっかり」
勝てないなあ、などと呟きながらすっかり己に身を任せてくる主に言わせればそんなことはないようだ。埋もれる以上その女体を柔らかくするのは当然のことであるように思うのだが、それがどうやら不服らしい。
「私が喘いだほうがよろしいか」
戯れにそう問いかけてみると猫の手で撫でるような拳が振るわれるが、そのような勢いであるからして捉えるのは容易であった。そのまま抑えて弱く噛み付くとあえかな鳴き声がしみ行くように欲を刺激する。

そういう意味では、己の方が負けているのかもしれぬ。しかしこればかりは腹の立ちようもなかった。

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ichinyo.site/但馬守に斬られたい人たち

「こっちに一如して」などと言っていたらドメインが取れることに気づいてしまったので作ったインスタンス