落穂ナム
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片付けもそこそこ終わってお蕎麦も食べて今までと違って広めの浴槽であったまった後。今日から毎日一緒に寝るんだなー、どうすればいいんだろ、なんてソファで悶々としていたら、
「……寝ないのか?」
「ふぇっ!?」
パジャマに着替えたやぎゅさんに声をかけられ、奇声を発してしまった。
「すまん」
驚かせたか、と撫でてくる手つきは夜のもの、というよりもペットをかわいがる時のような。不本意だけど心地いい。
「……寝ますよ?」
「よし」
今度はお父さんみたいに頷くと、手を差し伸べて起こしてくれた。引かれるまま、寝室に入ると既に薄暗い。寒くもなく暑くもない部屋で、一緒の布団に入る。なんとなく見つめあってお互いを探ったけれど、そこに色はなくて、がっかりしたようなホッとしたような気分で微笑み合う。
「おやすみ」
「おやすみ」
小さく、囁くように挨拶を交わして目を閉じる。少しだけ触れた指の暖かさに導かれて、すうっと眠りの世界に落ちていった。

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ichinyo.site/但馬守に斬られたい人たち

「こっちに一如して」などと言っていたらドメインが取れることに気づいてしまったので作ったインスタンス