全部ぐらぐら沸いて溢れそうだった。そんなところに確かに突き当たりがあって、そこまで届いたという感触が、して。生々しくて、それを受け入れている自分の格好が恥ずかしい。逃げたいけど縋りたくてどちらも叶わない。背後の柳生さんの方を振り返ろうとすると、首筋を甘噛みされた。
「っ……猫じゃない……」
だけどその感触はとても甘くて、支える腕に力が入らなくなる。伏せた身体についてきた、獣を押し殺す人の吐息が耳元で聞こえた。また熱いものが溢れそうになる。
顔が見たい。いますぐ。
なんとか首だけで振り返ると、こんどはキスしたくてたまらなくなった。こんなの知らない。それに、キスしたら。柳生さんは猫になってしまう。でも。もっと。
「もう少し」
だから、柳生さんが唸るような声でそう告げたのを最初は聞き逃していた。後から音の意味を理解して、体をよじる。と。唇が重ねられた。熱くて濡れたものが口の中に入り込んできて、隅々まで撫でていく。
満たされて唇が離れても、その姿は変わらない。
「……キス、したのに」
どうして、と思ったら。
「乙女ではなくなっただろう」
その意味を理解するまで、少し時間がかかった。