女の香りに下腹が滾る。勃ち上がりきらないうちに藤丸を離さねば、と思うがうまくいかない。子供がむずがるように、距離をとるとううんと唸って詰めてくる。
「藤丸、起きろ」
揺さぶっても、
「もーちょっとあっためてください……」
などと呑気なものだ。貞操の危機とわかっているのか、それとも貞操という概念がないのか。
「油断がすぎるぞ」
いささか余裕もなくなってきたので無理やり引き剥がすと、藤丸は紗を掛けたようなぼんやりとした顔でこちらを見つめてくる。それは女が登りつめた後の顔に近いもので、一度そう連想してしまうともうどうしようもなかった。潤む瞳を見つめて抱き寄せ、身体を返す。藤丸は目を見開いているが、お構いなしに硬さを持ち始めたものを押し付けた。
「けい、ぶ」
後ずさろうとしたところで手首を捉える。
「何だ」
嫌だと言われる前にその気にさせなければならない。頬と髪を手のひらで包み込むようになでてやると、気持ちよさそうに目をすがめた。我に返さないようそのまま続けてうっとりしてきたタイミングで、
「藤丸」
甘く優しく名を呼んで指を絡めてやる。藤丸は、困ったが嫌ではない、という顔になった。