程よく腹がくちくなったところの炬燵というものは、なかなか暴力的であった。こちらの機動力を完全に下げてくる。
「お風呂入らないと」
と立香が呟くのは何度目だろうか。二人して、会話を交わすわけでもテレビを見るわけでもなく、ぼんやり足を突っ込んだまま出られなかった。ただただ足の温まる感覚に思わずあくびが出る。
「先に入りますか?」
いかんと思いながらもそれを嚙み殺しきれなかった私に立香が尋ねてきた。
「そうだな」
ちらりと時計を見ると22時を過ぎていた。確かにいい頃合いかもしれない。
「一緒にどうだ」
何の気なしに誘うと、
「昨日あれだけしたのに?」
と甘く咎められ、思わず苦笑する。
「生憎そう毎日求めてやれるような年でもなくてな。単純に一人にしておくと上がった頃にはすっかり寝ていそうな気がしただけだ」
「……否定できない」
もぞもぞと炬燵を抜け出した立香と、着替えを手に取り浴室に向かう。さっさとお互い自分で体を洗い流して湯船に浸かると、先ほどまでよりもほんの少しだけ目が冴えた。私の体にもたれながらふう、と息を吐いた立香の身体の跡はまだ生々しく赤いままで、ほんの少し罪悪感を感じる。