今更、というよりも閨の中でのことを、それも相手も悦んでいたことを謝るのは野暮の極みである。そのまま黙って抱き寄せると、くてんと立香の頭の重みが肩に乗った。
「寝るなよ」
「うん」
返事をしたそばから欠伸をしている。体がそこそこ温まったところで引っ張り上げ、髪を乾かしてやりパジャマも着せて布団に放り込んだ。
「至れり尽くせりありがとー」
またふぁと欠伸をした、その横に滑り込む。
「お代は手でいいぞ」
早くも少しうとうとしている立香の手を探して握る。私よりふたまわりほど小さい手は風呂に入ったにしてもあたたかく、すぐに眠ってしまうのは間違いなさそうだ。
「抱き枕じゃなくていーのかなー?」
「身体が痛くなるだろう」
明日もお互い仕事だ。無理はしないに越したことはない。
ふふ、と立香が笑った。
「どうした」
「……大事にしてくれてありがと」
繋いだ手が口元に導かれ、柔らかな唇が触れる。
「でもハグはしてほしい」
そう嘯いてごろりと飛び込んできた身体を受け止め、望まれるまま背をひと撫でするとまたすぐに戻っていった。
「おやすみ」
柔らかな響きは静かに私を包み、それは眠りに落ちるまで変わらなかった。