その瞬間、但馬はいつも私の顔をじっと見つめてきた。苦しげな表情になるわけでもなく、恐らく身体に走るんじゃないかと思う快楽に浸るわけでもなさそうだった。いつもと変わらない表情だけど少しだけ懇願するような目をしている、なんていうのは私の思い過ごしかもしれない。
今夜は普通に寝るはずが、いつの間にか素肌で布団に入り二度ほど注がれていた。手を引かれ放り出されるに任せるまま快楽を味わっていたから、溢れたものが太腿をぺたりと濡らして少し気持ち悪い。そんな心地悪ささえも自分のものではない肌がくっつけばまた別であることを、上に乗せられて初めて知った。
「は、ぁ、あっ、たじま、これ、すき、すき」
好きなところをこじるように上下に動くとやめられなくなる。ぺたぺたと音を立てながら離れる腿の辺りから下腹を切なくさせるものが追加されるようだった。よくて、やめられない。
「ふ、う、ん、たじま、あ、い、く」
尋ねるつもりが、下からぐるりとかき回されてうやむやになる。但馬の口からこぼれる吐息と、じっとこちらを見据える眼差しがもうすぐ出すと伝えてくる。
「きて、たじま、ちょうだい」
口に出すとますます全部欲しくなる。
苦しめたいわけでも怒らせたいわけでもない。だけど。
「たりない」
もう少しだけ、足りない。そこがぎゅうっと但馬のものに吸い付いてしまうのがわかる。
「たじま」
自分でもこんな声どこから出てるかわからない。ただ腰のあたりにわだかまってどうしようもないものが、勝手に私の身体を、口を動かしていた。
「足りないよぉ……」
一度口にしてしまうとますます欲しくなった。いいところに当たって欲しくて身体を捩らせるけれどうまくいかない。じれったくて、ほしくて、涙が出てくる。自分でも内心ちょっと引いてしまうぐらい焦がれていた。
不意に但馬の指が肋骨を辿り繋がった場所少し上へ伝っていった。内側とはまた違った快楽が背中を走る。
「ぁ……!」
たまらなかった。そこを撫でられる度また中をぎゅうぎゅうと食い締めてしまうのが分かる。
やがて落ち着いたのか、但馬がゆっくりと腰を使い始めた。
「あ……♡」
待ち望んだ刺激に身体が緩む。緩んだところを責め立てられて、気持ちいいことでいっぱいになる。
普通に寝るはずが、結局、やめられなくなって。いつまでも誘い誘われ身体を交わして、いつ眠ったかなんてわからなかった。