酔いに任せて但馬がその体を抱くと、立香はお酒くさい、と笑いながら体を預けた。ちょん、と首を反らせて口付けると緩く男のものが勃ち上がる。快楽自体はさほどでもなくとも、その感触その光景に反応してしまう。それを自らの腿で感じ取った立香の頬が、酒を飲んでもいないのに色づいた。しかしそこから去るわけでもなく、そのまま但馬の首筋から着物の合わせに唇を這わせる。男の乳首を探り当て、舐め転がしながらそっと熱い逸物に手を伸ばせばびくりとそれが震え硬さを増すと同時に、但馬が息を詰めた。
愛しい男との予期せぬ逢瀬、肌の触れ合いを期待しなかったわけではない。しかしそれだけになるのも、淫らにすぎそうで怖い。もう少し何か口実を、と唇を離した立香が何か言いたげに口を開きかけて、また一人赤くなる。その機微は明らかにされぬなりに但馬の欲を掻き立て、
「なんで……」
反応したそこに立香が思わず呟いた。なんともものを知らない言いように、
「そう思うておるのはお主だけよ」
但馬は微笑みながら、ものの道理というものを教えてやらねばな、と立香の着物の帯を解いていった。
背後注意 Show more
果たして立香は布団に入るどころか部屋にも戻らず、広縁で肌を晒す羽目になった。前掛けを剥がれ帯も解かれた今、閻魔亭の仕事着ははだけるままとなっている。ひやりと肌を刺す冬の夜気よりも熱く注がれている但馬の視線に知らず知らず身体が震えた。
「流石これほどの宿を切り盛りする女将、趣味がよい」
ひとしきり首から胸元へと手のひらでなぞり甘噛みしながら愛でる但馬が呟く。
「なにが……?」
「紅梅色の着物は見目に華やか、かつ斯様にすれば肌によく映える」
うっとりとそう述べて両の乳首を口と指でこねる男に、
「……ば、か……ぁっ」
立香は抗う術もなくしがみつく。
「頬を染めながら詰られる甘さというものも知らぬとは」
全くもって恐ろしい、と但馬は苦笑した。ほんとうにこの娘は、己のそぶりがいかに無自覚にこちらを誘っているか分かっていないないらしい。
「そんなの」
「知らぬのであれば覚えよ」
かり、と色づいた突起を爪の先で引っ掻けば、漏れた吐息とともにもの言いたげな目が但馬を見上げる。それすらまた男を煽るだけだということを立香は知らないのだった。
#柳ぐだ