優しい声に少しだけ人の上に立つものとしての声音が混ざった。こういうところが本当にずるい。私だって喜ばせてあげたいのに、そんな声で囁かれたらどうにでもされたくなる。
「いつものがスキ、だけど」
「うん?」
但馬が相槌と一緒に歩を進め始めたものだから、ぐらっとバランスを崩しそうになる。まさぐっていた手がすかさず支えてくれたおかげで転ぶことはなかった。
「いつも通りじゃなくてもいい、よ?」
「ほう」
そのままベッドまでゆっくりエスコートされる。私が端に腰掛けると、そのままゆっくり押し倒された。
「私も但馬にあげられるの、この身体ぐらいしかないから」
羽織の前を解く但馬を見上げると相変わらず微笑んでいたけれど、もうただの上機嫌といったものではなくて胸が高鳴る。つい、
「好きにして」
言ってしまった。明日多分きついんだろうことは分かっているけれど。私だって少しぐらい羽目を外したい。
羽織を脱ぎ捨てた但馬が袴を消した。着流しの帯を解こうと手を伸ばしたら捕らえられ、そのままシーツに押し付けられる。
「ならばそのように」
低く唸るようにそう言った但馬の手指が服の下に潜り込んでくるのは時間の問題だった。
それからはもう、わあわあ泣いた。こんなに泣いた覚えがないっていうぐらい泣いた。柳生さんは黙って洗面からタオルを取ってきてくれたあたり、さっきの私の迷いもお見通しなのかもしれない。そうして、ひとしきり泣くとスッキリした。
「落ち着いたか」
落ち着きはしたけれど泣きすぎて頭がぼうっとする。とりあえず頷くと、
「もし、君が嫌じゃなければ、見舞いに付き合ってくれないか」
珍しく早いと思ったらお見舞いだったのか。言われて初めて、リビングのテーブルに花がおいてあることに気がついた。優しい、奥さんに似合いそうな花の色だ。
「行きます」
でもちょっとまぶたの腫れぼったいのが引いてから、と言ったら、柳生さんはちらりと時計を見てから、
「20時には職場に戻る」
「じゃあ大丈夫じゃ」
「今日ぐらい一緒に夕飯にしないか」
もらった抱きまくらが暖かい。ぎゅっと抱きしめて、
「はい」
返事をしたら、真顔の柳生さんの目がちょっと優しくなったような気がした。
あれから。その一言で、あのときの気持ちが思い出されてしまって、息が詰まる。深呼吸しようとすると、むぎゅ、とアザラシを顔に押し付けられた。
「抱きまくらがあるんだから抱きついておけ」
じんわりと自分の体温がうつったこの子に抱きついていたら、なんだか泣きそうになった。せっかくもらったのに汚してしまう。顔を離すと、じっとこちらを見ていた柳生さんと目が合った。もう、真面目な顔に戻っている。だんまりのまましばらくして、
「ーー君がどうしようと、俺はかまわん」
柳生さんがそう言った。
「うちにいても学校に通っても働きに出ても、好きなようにすればいい。俺は、それを見守る」
まあグレて迎えに行く必要が出てくると困るが、と小さく付け加えて、
「周りがなんと言おうと、君のことは君しかわからん。君がしたいことを言えばいい。やればいい。気を使うな」
その淡々と、それでいてきっぱりした言葉の意味が頭に入るまでしばらくかかった。じんわりと染み渡ると同時に、鼻のあたりが熱くなる。
「……泣いてもいい?」
いい?って聞いてるのにもう泣いてる自分がおかしいけれど、それ以上にただ泣きたかった。わめきたかった。
「ああ」
次の日はお見舞いに行って、学校と塾に行って、ひとりでご飯を食べて。あっという間に商店街の店先にクリスマスのものよりもお正月のものが多く並ぶようになった、24日。数学にも飽きたし、ちょっとだけ、クリスマス気分の街に出てみようか。迷っていると扉をノックされた。
「いるか」
「はい」
時計を見ると夕方にはちょっと早いぐらいだった。これは、今日の晩ごはんもひとりだなあと思いながら扉を開けると、そこには大きな、それこそ私より少し小さいかどうかといった大きさの包みを抱えた柳生さんがいた。
「好みに合わんかもしれんが」
メリークリスマス、と差し出された包みを抱える。見た目ほど重くなくて、ふかふかしている。
「開けてもいいですか」
「もちろん」
リボンをほどいて包装紙をはがすと、大きな白いどうぶつの、ぬいぐるみとも抱きまくらともつかないふかふかが出てきた。目がぱっちりしてて、
「かわいい」
「よかった」
お礼を言おうと見上げた柳生さんの顔には珍しく『心底ホッとした』と書かれている。ちょっと面白くて、申し訳ない。
「ありがとうございます」
「あれから話す機会もなかったからな」
ごちそうさまという言葉がこれほど似合うお話もそうそうない(五体投地)
筋骨格の3D資料がそのお値段…未来来たなあ…
見に行ってしまったら負けですね…
ゆるキャン△も好きなのでめっちゃ悶えたわ
さばキャン▽とピザ
新茶のカツアゲが終わったのでトンカツでも食べましょうかね
クリプレ石30じゃなくて10だった…お詫びして訂正しますm(_ _)m
ちなみに今日は終了メンテない模様
ログインしたらおもむろにケツァ姉さんがクリスマスプレゼントに石30個くれた。今日の23:59までログインのボーナスっぽいのでみなさんログインをお忘れなくー!
昨日のつづきちょこっとだけぶら下げました。がっつり続きはまた夜に。
「……酒が入るといかんな」
微笑んだままの但馬が呟いた。
「んー?」
「手が伸びる」
肩を抱かれて唇を塞がれると、強いお酒の味がした。強引に唇を割り開かれ、但馬に応えようとしてもその舌先すら吸い上げられてどうしようもない。濡れた音に誘われるように背筋をぞくぞくとしたものが這い上がってくる。その源、腰のあたりから順に、背筋をくすぐるでもなく押し込むでもなくなぞるように撫で上げてくる手つきがすごくやらしくて、私は但馬の羽織に体を預けるしかなくなってしまった。同時に、ぐ、ぐ、と硬くなった欲を押し付けられて、
「……したい?」
分かりきっていることだけれど、唇が離れた隙に尋ねる。それが布の向こう側でびくりと震えたのが伝わってきて、また背筋が震えた。
「ああ」
表情も身体も、欲を何一つ隠さずに但馬が笑っている。
「主は」
声と指でくすぐるように耳を撫でられる。そのうちに唇と舌も加わってきて、
「俺が差し上げられるのは我が身ひとつのみなれば」
そんなことを宣うのだから、気持ちいいけれど笑ってしまう。
「クリスマスだからプレゼント?」
「然り」
「いつもしてるのに?」
そうでしょうやよさん…そこで出てくるとは私思いもよりませんでしたのことよ…
続き描きたいけど明日も仕事なので寝る
鳥さんごちそうさまあああああ!
柳ぐだ(♀)/ichinyo.siteインスタンス管理者