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あーーーー煙草よい!!!どこかで吸ってもらおう

いつものようにぽんぽん言葉が飛んでくるかと思ったが、予想に反して藤丸は黙々とつまみを摘んだ。たまに口を開いたかと思えば、
「じゃがいものおでんって美味しいんですねえ」
だとか、
「生牡蠣もいいですか」
だとか、ひたすら食い気に偏っている。好きに頼めばいい、そう告げると、あっという間に第一陣の注文を平らげて牡蠣と揚げ出し豆腐に銀杏の塩炒り、追加の熱燗を頼んでいた。
「よく食うな」
思わず言葉にすると、
「最後の晩餐になるかもしれませんので」
酒に酔った赤い頬を晒しながら、それでも真顔でそう言った。なるほど、ある程度の覚悟はしてきたらしい。
「応援を頼んで捕らえればいいだろう」
カマをかけてみたが、
「そんな伝手がないことはご存知かと」
と酒をあおる様は嘘のようには思えなかった。
今、真実は己と藤丸の間にしかない。この小上がりの膳の上、差し向かった空間にしか。
「なんでなのか、聞いてもいいですか」
ぽつりと藤丸が尋ねてきた。見つめる瞳を見つめ返して答えを探したが、
「……一言では言い表せん」
「面倒?守秘義務?黙秘?」
「さて」
全てを話してもよかったが、うまく説明できる気がしなかった。

お店は警部に任せた。何だかんだで、この人は美味しいもの、良いものをよく知っている。連れていかれた先に誰かいるのかもしれないと思わなくもなかったけれど、ここまで踏み込んだ以上帰れなくなることも覚悟の上だった。
倉庫街の最寄駅から二つほど電車に乗った、一見すると少し大きな古い家が立ち並ぶ住宅街のはずれ。一言も話さないまま連れられたのは、仕出しの看板を掲げた小さな居酒屋だった。カウンターが4席と、四人も座ればぎゅうぎゅうになりそうな小上がり。何か道具を持ったおばさま2人がカウンターにいたけれど、私たちが入ってすぐに席を立った。
「花街の名残の店だ」
有線の演歌に紛れる声の大きさで、警部が言った。
「長年のそういう席への仕出しで続けられるぐらいに美味い。今みたいなお座敷前の姐さんたちが来た後はほとんど客も来ない」
そんな説明を受けるうちに、頼んでいた熱燗と出汁巻とおでんがきた。店の人も忙しいのか心得ているのか、出すものを出してさっと引きあげてしまう。
お互いお猪口に注ぎあって、杯を掲げる。
「有能な部下に」
「……引き立ててくださる警部に」
口にした日本酒は甘く強く喉を焼いた。

黒警部×新人ぐだちの妄想が止まらねえ

つまらない仕事だった。一方を過去のネタを餌にして呼び出しナイフで刺す。そのあともう一方を同じように呼び出し意識を失わせてからナイフを握らせる。指紋と刺入方向だけ気にすればよかった。
しかし、呼び出した現場にいたのは。
「容疑者は司法取引に応じ自首しました」
藤丸だった。倉庫街の暗がり、高架を挟んだ向こう側を走る車のライトが彼女の顔を一瞬照らす。その表情からは何も読み取れない。
「……よく口説いたな」
「命の危険がある旨伝えました。口を割った場合の処遇の具体例も」
「そうか」
この場所もおそらく取引の過程で聞き出したのだろう。現場慣れこそしていないが、群を抜いたコミュニケーション能力が本領を発揮したか。
「警部」
藤丸の瞳が、その気質を表すかのようにまっすぐ見据えてくる。
「なんだ」
周りに他の者の気配はない。自首した奴にも俺の正体が伝わっているはずもない。藤丸の口さえ封じてしまえば、真相は闇の中だった。
だが、まだ、そういう気にならない。何を言ってくるか、好奇心に負けた。
再びヘッドライトに顔を照らされ、眩しげに目を細めた藤丸は、
「もう上がりなら飲みに行きませんか」
そう言った。

トリプルマルタさんという無敵の響き、やばい

鉄拳聖裁マルタさんちょうっょぃので、クラスに困ったら是非お使いください…EXサポに置いております

あれ、その格好だったっけ…(鳥頭)

やよさんの投稿見てあの方案外薄着なのねとビビる

定時退勤するはずがまだ会社の最寄駅にいる

十二国記、新作でないと思ってたからとても嬉しい点

やなぐだのことだけ考えてたいけど働かなくては…よぼよぼ

左肩の痛みと腹側の温さで目が覚めた。身体をずらすと赤い髪が見える。少し動いてもぴくりともしない。よく眠っている。役目は果たせたようだ。
そのまま布団を出ようとしたが、困ったことが二つ起きた。一つは、藤丸の手が俺の上衣を握りしめていて離す気配がないこと、もう一つは昨夜は気にならなかった女の甘い香りが立ち上ってきたことだった。背筋が痺れ、下腹に血が回る。もう少し口説いていたならばともかく、ようやくここまで懐かせたところで犯すのは悪手である。
「藤丸」
やむを得ない。細い肩を揺さぶって起こすと、眉間に皺を寄せながら薄く瞼が開いた。
「手を離せ」
言いながら、握りしめられた指を開かせるように手を添える。すぐに指が開きはしたが、
「おはようございます……」
今度は胸元に顔を擦り寄せてくる。昨夜思った通り、まるで大きい猫だった。しかし猫ではないから愛でるのは都合が悪い。
「藤丸」
「ふぁい」
呑気にあくび混じりの返事を返した彼女に、
「起きたいのだが」
要望を伝えると、んんん、とぐずるように呻いてから、ころんと離れた。眉間に皺を寄せたその顔はいかにも不服であることを伝えていて、少し笑ってしまった。

よしよしお泊まり編おしまい。つりーにしてなくてすまそ。

同じ布団に柳生警部が寝ている。言葉の綾でこんなことになってしまった。無欲そうに見えたけれど、このまま奪われてしまうのだろうか、といった心配は杞憂だった。人肌などなくても平気だ、という言には暗にお前でもあるまいしと言われているようで、居心地が悪かった。

そう。たしかにほっとした。生きている人の気配に、その熱量に。

素直に未熟であることを詫びると、すぐに警部は目を閉じた。そこそこ歳だし、私も手間をかけさせたし、疲れたのかもしれない。最後の任地だと言っていたけれど、いくつぐらいなんだろう。いつも現場に出ているからか、その寝顔はあんまり歳を感じさせなかった。
じっと観察していると、突然ぱちりと開いた目とまともに目が合ってしまったけれど、どうしていいかわからない。わからないまま、背中を抱き寄せられて肌が近くなる。気が変わったのかと、慌てて抵抗してみたものの、それきり何もしてこなかった。
様子を伺ううちに規則正しい寝息が聞こえてくる。目の前の胸元にそうっと耳を寄せると力強い鼓動の音がする。背中に添えられた腕は暖かく、またうとうととした眠気が私を襲う。
案外、寝心地のいい夜になりそうだった。

それを言うならどこで寝るんですかだろう、と思いはしたが、先程その問いを投げ捨てたのを思い出した。半分瞼を閉じながらもニヤリと笑う藤丸の顔は悪戯なもので、確信的にその言葉を選んだのだとわかる。
「--そうするか」
「え」
こたつで寝るつもりだったが、多少からかってやってもいいだろうし何よりこの寒さであればその暖かさは魅力的だった。一晩、大きな猫がいるようなものだと思えば何ということもない。
電気を消して、馴染んだ布団に潜り込む。藤丸が温めていたおかげで冷たさに震えることもない。誘った本人は、体を固くして息を殺しこちらを伺っている気配がした。
「この歳になって現場に堪えきれず人肌が欲しいなどと思わん」
安心させるために言ったつもりだったが、
「未熟者ですみません」
どうも喧嘩を売ったようにとられてしまったようで、むくれたような声が返ってきた。まあ機嫌を気にしたところで仕方がない、と目を閉じたところで、藤丸が否定しなかったことに気づいた。
目を開くと、一瞬合った目が逸らされる。それならそれで良い。再び目を閉じ、半ば強引に腕の中に身体を納める。すこし抵抗するそぶりはあったが、すぐにやんだ。

(今の所食べられない展開になる予定だったのですが食べられるのも美味しそうですね…♡)

でしたでした!酒呑ちゃんに食べさせる骨不足なので頑張って開けたいです💪

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ichinyo.site/但馬守に斬られたい人たち

「こっちに一如して」などと言っていたらドメインが取れることに気づいてしまったので作ったインスタンス